フローリングにフロアコーティングをほどこすことで、傷や汚れを防ぎ、美しい状態を長く保つことができます。フロアコーティングはプロの業者に依頼するのが一般的ですが、最近では、インターネットなどで簡単に材料を手に入れることもでき、DIYでおこなう人も増えてきています。今回は、フロアコーティングのDIYについて詳しく解説します。
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フロアコーティングDIYのメリット・デメリットとは
プロの業者の手を借りず、自分でフロアコーティングを行う場合には、メリットとデメリットがあります。両方をよく理解した上で、自分でフロアコーティングを行うかどうか判断することが大切です。
フロアコーティングDIYのメリット
フロアコーティングDIYの最大のメリットは、業者に依頼せず自分で行うことでコストを削減できるという点です。人件費や施工費が必要なく、完全に材料費だけで済むので、なるべく安く済ませたいという人はDIYがおすすめです。
ただし、プロに頼らないということは、コーティング剤や道具の選び方、作業の手順にいたるまですべて自分で調べて実行しないといけないということでもあります。その手間とコスト、どちらを取るかはその人次第でしょう。
また、DIYなら自分や家族の都合がいいときに作業できるという点もメリットと言えます。専門業者に依頼するとどうしても日程のすりあわせが必要ですし、自分の希望どおりの日程で施工してもらえない可能性もあります。DIYならすべて自分で決められるので気楽です。
フロアコーティングDIYのデメリット
フロアコーティングDIYのデメリットとしては、仕上がりがプロの施工に比べて劣るという点が挙げられます。当然ですが、フロアコーティングはただコーティング剤を塗布すればいいというものではありません。
プロにはプロのノウハウがあり、熟練の職人が行うフロアコーティングは、やはり素人とは一線を画しています。もちろん、その分耐久性にも影響は出てきます。
また、プロなら1~2日で終わらせられる作業も、慣れない素人だとその何倍もの時間がかかることもあります。日程は自分の都合で決められますが、余裕を持ったスケジュールを組む必要がでてくるでしょう。
このようにデメリットも多いですが、自分の住む家を自分の手で改良できるDIYはやりがいもあり、魅力的です。たとえ仕上がりがプロのものと比べて劣るとしても、自分でフロアコーティングをしたという経験や、思い出はかけがえのないものになるでしょう。
フロアコーティングDIYでよくある失敗とその原因
フロアコーティングDIYを行う際によくある失敗と、その原因にはどのようなものがあるのでしょうか。失敗しないためにも、ぜひ知っておいてくださいね。
異物の混入
フロアコーティングをするとき、コーティング剤とフローリングのあいだにゴミが入ってしまうと、見た目も悪く硬化不良の原因にもなりかねません。フロアコーティングはフローリングの上にコーティング剤を塗布して固め、フローリングを保護するものなので、一旦固めてしまうとゴミを取り除くことが難しく、ずっと残ってしまうこともあります。
コーティング剤を塗布する前に掃除を怠ったり、塗布する道具にほこりなどの小さなゴミが付着していることが原因ですので、コーティング前に必ずチェックするようにしましょう。
密着不良
もともとのフローリングとコーティング剤が上手く密着しないトラブルもあります。
フロアコーティングを行う場合、まずフローリングの表面についているワックスを専用の薬品などで剥離させ、除去した上でコーティング剤を塗布しますが、この剥離が十分でなかった場合や、剥離に使った薬品が残っていると密着不良を引き起こします。
密着不良を起こしてしまうと修復が難しいので、コーティング前の下準備はくれぐれも慎重に行いましょう。
また、フローリングの素材が原因でコーティング剤が密着しないパターンもまれにですがあります。コーティングを行うフローリングがどのような素材のものか、事前に確認しておいたほうが安心です。
塗りムラ
フロアコーティングDIYでよくある失敗が塗りムラです。コーティング剤は均一に塗る必要がありますが、それは普通の人が考えているよりもかなり難しいことです。なるべく一定の量のコーティング剤を、速度を保って塗布することを意識しましょう。
また、無垢材のフローリングの場合、一部分だけがコーティング剤を多く吸い込んでしまい、その部分がムラになるということもあります。
数年後に起きるトラブルも
フロアコーティングをした直後には分からなくても、数年間フローリングを使い続けてみてはじめて起きるトラブルもあります。代表的なものだと、コーティングをほどこした塗膜の一部分が剥がれてくるトラブルや、塗膜が白く変色してしまう白華(はっか)と呼ばれるトラブルなどがあります。
塗膜の剥がれはフローリングとコーティング剤の密着不足で、白華は湿度や水分などの要素が複雑に関係して起こると考えられています。フローリングが乾ききらないうちにコーティングを行うと、白華が起こりやすくなってしまうので、十分乾いたことを確認してからコーティングをはじめてください。
DIY初心者でもできる!フロアコーティングの材料と道具の選び方
フロアコーティングをDIYするには、まず材料や道具を揃える必要があります。ここでは、初心者でもできるフロアコーティングの材料と道具の選び方を紹介します。
まずはフロアコーティング剤の種類を決める
フロアコーティング剤にはたくさんの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。また、値段も高いものから安いものまでさまざまです。
自分のDIYの実力や、フロアコーティングをすることで得たい効果を含めて考えて、まずはどのコーティング剤にするかを決めましょう。その上で、施工したいフロアコーティングにはどんな道具が必要なのかを調べて、ホームセンターなどで揃えます。
たとえば、UVコーティングは強度があり、1度施工すると長期間美しいフローリングを維持できますが、表面を固めるために紫外線照射機を買わなければいけないため、費用が余分にかかってしまいます。
ほかにも、コーティングの専門業者に任せたほうが逆に安く済むコーティング剤もありますので、自分で材料を揃えた場合と、専門業者に依頼した場合のどちらが安く済むのかよく確認するようにしてください。
おすすめなのは、ガラスコーティングやシリコンコーティング、水性ウレタンコーティングです。素人でも塗りムラになりづらく扱いやすいことがその理由で、フロアコーティングをDIYで行う際によく選択されています。
「どのコーティング剤を選んだらいいのか分からない」と悩んでいる人はこれらを選べば比較的失敗しづらく安心です。
フロアコーティングの前に必要なもの
フロアコーティングを行う前には掃除が欠かせません。そのために掃除機・粘着テープ・雑巾・中性洗剤などを準備しましょう。また、髪の毛を落とさないためのヘアキャップや、手荒れや汚れ防止のための手袋、コーティング剤が目に入るのを防ぐためのメガネなどもあると安心です。
フローリングがきれいになったら、フローリングにもともとついているワックスを落とします。ワックス剥離剤やフロアコーティング剤が余計な場所に飛ばないように、養生テープやマスキングテープも必要です。
フロアコーティングに必要なもの
UVフロアコーティングのような特別な機械が必要なコーティング剤は別ですが、きちんと掃除と養生ができていれば、あとはコーティング剤とコーティング用のモップがあれば塗ることができます。
DIYだとどうしても「なるべくコストをかけずに安く済ませたい」という願望から、フロアコーティング剤も道具も安いものを選んでしまいがちですが、できればどちらも良いものを揃えるのがおすすめです。
特に道具に関しては、やはり安いものだと使いづらく、仕上がりにも直結してしまいます。素人だからこそ、道具は良い物を使ったほうが失敗しにくく、扱いも楽です。
フロアコーティングDIYの前にやるべき下準備ときれいに仕上げるコツ
少し慎重になって気をつけるだけで、フロアコーティングの仕上がりには大きな差が出るものです。ここでは、フロアコーティングDIYの前にやるべき下準備ときれいに仕上げるコツを解説します。
下準備はしっかりと
フロアコーティングを行う場合、まずはもともとのフローリングをきれいにする必要があります。汚れや異物が残っていれば、前述したようなトラブルの原因になりかねません。念入りに掃除をするのはもちろん、フローリングに傷があれば補修しておきましょう。
傷をそのままにしておくと、フローリングの表面に凹凸ができてしまい、コーティングの際にムラになってしまいます。また、もし時間に余裕があれば、あらかじめフローリングの目立たない場所で試しにフロアコーティングをやってみるのもおすすめです。フローリングの材質とフロアコーティング剤が合わずに密着不良を起こす可能性もあるので、全面にコーティングを行う前に一部分だけで実験してみれば、大きな失敗に繋がりません。
きれいに仕上げるには?
コーティング剤の種類にもよりますが、フロアコーティングをはじめた瞬間からコーティング剤は乾燥を始めます。とにかく素早く塗り進めるのがきれいに仕上げるポイントです。
また、塗り残しは傷みや劣化の原因にもなるので、全体にコーティング剤が確実にいきわたるように意識しましょう。
また、塗り終わって完全に乾燥し、コーティング剤が硬化するまでは触らないことも大切です。生乾きの状態で触ってしまうと、その部分だけコーティング剤が剥がれたり、見た目が悪くなってしまいます。
無理だと思ったらプロに相談することも大切
自分でフロアコーティングを行う場合、どんなに下準備やシミュレーションをしていても、予期せぬトラブルが起こる可能性もあります。そんな時は、早めにプロに相談するようにしましょう。
素人判断で進めてしまってはますます事態が悪化してしまいかねません。早めに判断すればフローリングの見た目を損なわずに修正できる場合もあります。
DIYでフロアコーティングをする際に使えるテクニック
コーティング剤をできるだけ美しく塗装して、長持ちさせるにはどうすればいいのでしょうか。ここではDIYでフロアコーティングをする際に使えるテクニックを紹介します。
部屋の形に合わせて塗装ルートを決める
当然ですが、コーティング剤を塗布した場所は触ることができないため、上を歩くこともできません。そのため、基本的には部屋の奥から塗装をはじめ、最後に出入り口のところまでいくという塗装ルートにする必要があります。
部屋の形に合わせて塗装するルートをあらかじめ決めておき、実際にコーティングをはじめたら素早く塗り進められるようにしておきましょう。塗りながら「次はどっちの方向に進もう」などと考えていてはどんどん乾燥が進んでしまいますし、塗り残しも生じやすくなります。
湿度や温度を考慮する
コーティング剤はとてもデリケートです。コーティングを行うときの気温や湿度でも出来ばえが変化してしまいます。とくに気温は重要で、高いと乾燥が早くなりムラになりやすく、逆に低いと乾燥が遅くなり、完全に乾燥する前にほこりやゴミが付着しやすくなります。
フロアコーティングをするのに理想の気温は20℃前後、湿度は60%前後と言われているので、もし時期を選べるのであれば真夏や真冬は避け、この気温と湿度になるべく近い季節を選ぶといいでしょう。
また、コーティングの際に部屋の窓を開けておくと風が入り乾燥が速まります。一定の環境で塗装を終えるためにも、塗装中は窓をしめておいたほうが安心です。
DIYでフロアコーティングに失敗したときの対処法
どれだけ気をつけていても、失敗してしまうことは誰にでもあります。ここでは、DIYでフロアコーティングをするときに起こりがちな失敗の対処法を紹介します。
異物が入り込んでいるとき
DIYでフロアコーティングをするときにもっとも起こりやすいのが、異物の混入です。前述した通り、塗装前にできるだけきれいに掃除をし、異物を取り除いておくことで対策できますが、それでも塗装中に異物が入り込んでしまうこともよくあります。
対処方法は、異物が入ってしまった部分の表面を削って取り除き、再度フロアコーティングをしなおすことですが、素人にはなかなか難しい作業です。どうしても異物が入り込むのを避けたい、もし入り込んでも除去したいという場合は、水性ウレタンコーティングを使用するのがおすすめです。
水性ウレタンコーティングはアルコールなどの薬品に強くないという弱点はありますが、素人にも扱いやすく、価格も比較的安いコーティング剤です。そして、万が一のときは剥離も可能なので、もし異物が入り込んでしまっても剥離して塗りなおすことができます。
うまく硬化しないとき
コーティング剤は、硬化すると固まります。しかし、所定の時間が過ぎても表面がベタベタしている場合は、硬化不良になっている可能性があります。硬化不良は気温や湿度による影響も大きいため、うまく硬化していないときは、所定の時間よりも乾燥にかける時間を長くとるようにしましょう。
塗りムラがあるとき
塗りムラもDIYでフロアコーティングをするときに起こりやすい失敗です。コーティング剤を均一に塗るのはとても難しい作業なので、DIYでフロアコーティングをすると決めたからには多少の塗りムラは仕方がないとも言えます。
通常、塗りムラはツヤ合わせといって、ムラになっている部分だけ上から塗り重ね、周囲の質感とあわせてムラを目立たなくするという作業が必要ですが、ツヤ合わせには高度な技術が必要になるため、どうしてもムラをなんとかしたい場合は、フロアコーティングの専門業者に依頼したほうが無難でしょう。
安全にフロアコーティングDIYをするために知っておきたい注意点
フローリングは家族の肌が触れることが多い部分です。小さな子どもがいる家庭では、子どもが舐めたりすることもあるでしょう。そのため、安全性に関しては十分注意が必要です。
フロアコーティングはワックスと違い、完全に硬化させるため成分が付着することがありません。しかし、すべてのコーティング剤が安心とは言い切れないのが現状です。
そこで目安にしたいのが改正建築基準法です。この法律では人体に有害なホルムアルデヒドが排出される度合いを等級で表示することが義務づけられています。F☆☆☆☆(フォースター取得済み)のコーティング剤なら安全性が高く安心ですので、コーティング剤を選ぶ際の参考にしてください。
まとめ
フロアコーティングをDIYすることは可能です。自分ですればコストも安く済みますし、自分の好きなときにコーティングできます。また、美しくコーティングするためには念入りな下準備が欠かせません。
どのコーティング剤を選ぶかによって費用や難易度も変わってきますので、よく調べてから行うようにしましょう。もし途中で何かトラブルが起きた場合や、自分だけの手には負えなくなったら、早めに専門業者に助けを求めることも考えましょう。