フロアコーティングを行うと、行わなかった場合に比べて、長くフローリングの美しさを保護することができます。そのため入居前にフロアコーティングを施工する人が増えています。今回はフロアコーティングを行う必要性や、フロアコーティングのメリットやデメリットを、コーティング剤の種類や選び方とともに解説します。
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フロアコーティングを行う必要性とは?
以前はワックスをフローリングに塗ってツヤを保ったり、表面を保護する人が多かったのですが、最近ではワックスに代わり、フロアコーティングを施工することが注目されつつあります。
ワックスに比べて、フロアコーティングのほうが強度や耐久性があり、高い効果が得られることがその理由ですが、実際フロアコーティングはフローリングにとって必要なものなのでしょうか?
もちろん、フローリングには絶対にフロアコーティングをしないといけないというわけではありません。
しかし、フロアコーティングをしておけばフローリングがコーティング剤で保護されるため、傷が付いたり、汚れや湿気が染みこんでフローリングを傷めるのを防ぐことができ、美しい状態をより長く保つことができます。
硬度がなく定期的に塗りなおしが必要なワックスと違い、フロアコーティングなら1度施工すれば長く効果が得られるため手間も少なく、維持も簡単です。
1度、フローリングに傷や汚れがついてしまうと、もとの状態にするためには手間もコストもかかりますので、快適な生活を送るためにも、あらかじめフロアコーティングをしておくことをおすすめします。
フロアコーティングのメリット
では、フロアコーティングを行うことによって具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
掃除が楽になる
フロアコーティングの最大のメリットは、なんといってもフローリングをきれいに保つことができ、掃除が楽になることです。コーティングされていればフローリングには汚れが到達しないので、さっと拭き取るだけで簡単に掃除することができます。
また、フローリングはお湯やアルコールを使って掃除すると傷んでしまうこともありますが、コーティング剤の種類によってはそれらを使っても問題ないものもあるので、お手入れもしやすく衛生的です。
小さい子どもがフローリングに落書きしてしまったり、ペットが汚してしまった場合にも、汚れを落としやすいので助かりますよね。また、フローリングの耐久性や防水性を高めることにもなるので、結果的にメンテナンスの負担を軽減することにも繋がります。
ペットや小さい子どもにも優しいフローリングになる
コーティング剤の種類によっては、フローリングを滑りにくくする効果もあります。グリップが効きやすくなるため、高齢者や小さな子どもがいる家庭でも安心です。
また、滑りやすいフローリングは、ペットの足腰にも負担がかかります。コーティングしていないフローリングはサラサラとした感触で滑りがいいですが、こういった滑りやすいフローリングはペットが転倒し、骨折や脱臼をしてしまう可能性が高く危険です。
防滑性のあるフロアコーティングを行うことで、ペットの健康を維持し、安全に過ごす環境を整えてあげることができます。ペットの引っかき傷の対策にもなります。
家の査定価格が上がる場合も
「そこまで長く住むわけではないし」「いずれは賃貸に出そうと思っているから、わざわざお金がかかるフロアコーティングなんてする必要はない」と考える人も少なくありませんが、フロアコーティングのメリットは目先の生活のしやすさだけではありません。
フローリングは内装の中でも特に傷みやすい部分ですので、あらかじめフロアコーティングをしておくことで美しい床を長期間保つことができ、家を売却する時に査定価格が上がる場合もあります。
賃貸にするとしても、フローリングがきれいだということは大きな利点になりますので、コーティングをしておいて損はありません。
フロアコーティングのデメリット
反対に、フロアコーティングを行うことによって生じるデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
費用がかかる
フロアコーティングを行う上で最大のデメリットは、費用がかかるということです。たしかにワックスよりもフロアコーティングのほうが高くつきますし、コーティング剤の種類にもよりますが、1部屋10~20万円程度、高い場合は30万円以上もするので、躊躇する人がいるのも当然です。
しかし、長い目で見てみると、最初にフロアコーティングをすることで費用はかかっても、その分フローリングの耐久性が上がるので、後々かかるメンテナンス費用は削減できます。総合的に考えれば、決してフロアコーティングが高いということはないでしょう。
フローリング本来の自然な質感が失われてしまう
フロアコーティングはフローリングの表面にコーティング剤を塗るため、フローリング本来の質感が失われてしまい、見た目の印象も変わることがほとんどです。コーティングをすると、どうしてもフローリングにツヤツヤとした光沢が出ます。
完全に好みの問題ですが、フローリングに光沢があるほうが、高級感があって好きだという人もいれば、逆に自然な風合いがなくなってしまい嫌だという人もいます。後者の場合は、なるべく光沢が出ないコーティング剤を選ぶなどの工夫が必要です。
やり直しがきかない
フロアコーティングはその性質上、1度施工してしまえば剥離ができず、フローリングをコーティング前の状態に戻したり、別のコーティング剤でやり直すことが難しいことがほとんどです。いざフロアコーティングをしてみて「やっぱりイメージと違ったからやめたい」というわけにはいきません。
例外として、薬品で剥離させられるコーティング剤があったり、無垢フローリングの場合はフローリングと一緒にコーティング剤を削り落とすことも可能ですが、どちらも手間がかかりますし、また1からコーティングをやり直すには、家具の移動なども必要で大変です。基本的に「フロアコーティングはやり直しがきかない」と考えておいたほうがいいでしょう。
フロアコーティングの種類と特徴
フロアコーティングを行う場合は、それぞれのコーティングの特徴をよく調べた上で、自分が求める効果が得られるコーティングを予算内で選びましょう。どのコーティングを選べばいいか分からないという場合は、コーティング専門業者に相談に乗ってもらうのもおすすめです。ここでは、代表的なコーティングをいくつか紹介します。
ウレタンコーティング
ウレタンコーティングはウレタン樹脂を使うコーティング方法で、水性のものと油性のものがありますが、一般的な家庭のフローリングに施工されることが多いのは水性タイプのものです。
薄く仕上がるため、フローリング本来の自然な質感を残しながらコーティングをほどこすことができます。部屋の雰囲気を変えたくない、あまりツヤツヤさせたくないという人には最適です。水溶性のためコーティング中の臭いも少なく、ペットや小さい子どもがいる家にも安心です。
弱点は、ほかのコーティングと比べて強度や耐久性が劣ることです。それでも、使用環境にもよりますが、3~10年ほどは効果を発揮します。価格は比較的安く、初期費用をなるべく抑えたいけれどコーティングはしておきたいという人にはおすすめです。
シリコンコーティング
シリコンコーティングはグリップ力が特徴です。被膜に厚みがあり、滑りにくく歩きやすいフローリングにすることができるので、高齢者がいる家にも安心です。耐用年数は10~20年ほどで、価格はもっとも安く済みますが、年月がたつにつれて黄色っぽく変色しやすいのが弱点です。
また、被膜自体が柔らかいため、ほかのコーティングと比べると強度が劣り、傷がつきやすいといわれています。
ガラスコーティング
現在、もっとも多く扱われているのがガラスコーティングです。被膜は薄いですが、硬度があり耐久性に優れています。取り扱っている業者もたくさんあるので、さまざまな業者を比較して依頼する先を決めることもできます。
耐用年数は20年以上といわれていて、光沢ありと光沢なしを選ぶことができるのも嬉しいポイントです。グリップ力はあまり強くなく、ほかのコーティングと比べると滑りやすいので、滑り止めを目的にコーティングを行いたい人には不向きです。
硬度があるので熱には強いですが、アルカリ性の薬品に対しては耐性が低いので注意しましょう。
UVコーティング
ほかのコーティングは塗布したあと自然乾燥させますが、UVコーティングは紫外線照射機で硬化させるため、施工時間が短く済みます。強度・耐久性ともに圧倒的に高く、熱や薬品、アルコールにも強いため、まさに最強のコーティングといえます。
しかし、専用の紫外線照射機が必要なことや、高い技術が求められることから、取り扱っている業者はほかのコーティングと比べてあまり多くないですし、費用も高くなります。どれだけ費用がかかっても、とにかく強く美しい床にしたいという人にはおすすめです。
UVコーティングといえば、以前は強いツヤが特徴でしたが、最近ではツヤがあまり出ないタイプも増えてきています。
フロアコーティングの選び方と注意点
このように、一言でフロアコーティングといってもさまざまな種類があり、値段も安いものから高いものまで存在します。もともとのフローリングの性質を踏まえた上で、どのような効果を与えたいかをよく考え、適切なコーティング剤を選ぶことが大切です。
また、フロアコーティングを行う前にはフローリングの状態をよく確認し、あらかじめメンテナンスしておくことも重要です。
まとめ
フロアコーティングはフローリングを傷や汚れから守り、美しい状態のまま使い続けるためにもぜひ施工しておきたいものです。コーティングの種類によっては滑り止め効果が得られるなど、家族が安全に暮らすためにも役立ってくれます。
ワックスのように何度も塗りなおす必要がなく、1度施工しておけばフローリングのメンテナンスの負担も減らすことができます。フロアコーティングをする際にはメリットとデメリットをよく理解し、最適なコーティングを選ぶようにしましょう。