フローリングは天然の木材を複数張り合わせたもので、掃除がしやすく、ダニの心配もいりません。しかし、いつの間にか表面に黒ずみができて、全体的に汚れてきます。黒ずみができると、清潔感が無く、部屋全体が暗いイメージになるでしょう。今回は、フローリングにできる黒ずみの原因を探り、しっかり落とすコツと注意点を解説します。
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黒ずんだフローリングの原因と注意点
毎日フローリングの床を掃除しているのに、いつの間にか黒ずんできた、という話がよくあります。掃除機をかけ、モップでゴミやほこりを取っているのに、フローリングが黒ずんでくるのは掃除機やモップでは落としきれない、油や皮脂が原因だからです。
黒ずみの原因はいくつもあります。黒ずみを落とすには、フローリングの材質をよく見極め、表面を傷つけないように注意してください。黒ずみの原因と清掃時の注意点を挙げます。
皮脂、足裏が原因
日本では室内をスリッパで生活する家庭は余り多くはありません。フローリング床であっても、素足や靴下で歩き回り、踏みしめています。素足で歩き回ると、フローリングの床に足の皮脂汚れがペタペタとつき、放置していると黒ずみになる場合があります。
「素足で歩いたくらいで黒ずみに?」と思われるかもしれませんが、夏の暑い時期に汗をかいて汚れた足×家族人数分となると、決して見過ごせるものではないでしょう。皮脂汚れはフローリングが黒ずみになる最も多い原因の一つといわれています。
黒ずみを防ぐには、玄関マットを用意し、家族がフローリングの部屋に入る前に、足を清潔にする工夫をしてください。
湿度が高い部屋はカビが原因
カビも黒ずみの原因です。湿度が高い部屋、洗面所や脱衣所がフローリングになっていると、他の部屋よりも早く黒ずんでいることに気付きます。洗面所や脱衣所の黒ずみは、湿度が高いために発生するカビが原因と考えられるでしょう。
外気と接する窓近くのフローリングも、カビが多く発生します。湿度の高い部屋は、換気をよくする、除湿剤を置くなどして、カビの発生を防いでください。
フローリングにふとんを敷いて万年床にしてしまうと、寝汗をふとんが吸収し、床の湿度が高まります。結果、フローリングにカビが発生し、黒ずみになってしまうので、ふとんはこまめにあげて、乾燥させましょう。
キッチンの油汚れに注意
キッチンのコンロ周辺の床が、黒ずんできます。揚げ物調理をすると、油分は部屋中に拡散されますが、フローリングの床にも油汚れは蓄積されていくのです。鍋やフライパンからはねた油が床に落ち、黒ずみの原因となる場合もあります。
油汚れは足の裏やスリッパについて、各部屋に拡がってしまうでしょう。コンロ周辺の床はキッチンマットを敷き、油汚れの拡散と蓄積を防ぎます。
水・お茶・ジュースなど水分
水、お茶、ジュースなどをこぼした際に十分ふき取れずにいると、フローリングが一部腐食し、黒ずみになります。また雨水が入り、フローリングに染み込んで変色し、黒ずみとなる場合もあるのです。
フローリングは腐食すると、掃除では落とせません。フローリング上の水分は、拭き残しがないようにしてください。
ワックスの劣化
ワックスはフローリングに光沢を与え、表面を保護してくれますが、経年により劣化が避けられません。ワックスは重ね塗りが基本ですが、何層も重ねて塗っていくうちに、古い層は光沢を失い、黒ずみの原因となります。
無垢材フローリングか複合フローリングか
無垢材(1本の木からできている)フローリングは、清掃の水分量に注意してください。無垢材のフローリングは水分が多過ぎても、少な過ぎても、反りやすき間ができます。
基本的にスポンジや布巾、洗剤を使った水分が必要な清掃は不向きとなります。乾いたモップや掃除機で掃除しなければならないので、入居時から敷きマットなどを利用して、フローリングが黒ずみにならないよう、工夫してください。
複合フローリングは薄く切った木材を貼り合わせた、合板製のフローリングです。無垢材のフローリングに比べ、耐久性があり、水分に強い点が特徴です。水、洗剤、スポンジ、布巾で黒ずみを落とせます。
安価で施工でき、見た目も美しいので、一般的な住宅には複合フローリングが多く使われています。黒ずみを落とすときは、自宅のフローリングが無垢材フローリングか、複合フローリングかを確認してから、清掃方法を選びましょう。
柔らかいスポンジや布巾を使った掃除法
キッチンの油汚れによる黒ずみは、スポンジや布巾を使って落とします。スポンジや布に水、洗剤を含ませ、汚れを軽くこするように掃除しましょう。
フローリングに付着した濃い汚れには、中性洗剤を使って掃除すると効果的です。油汚れなので、台所用のオレンジ洗剤などをおすすめします。
中性洗剤はフローリング専用のものも多く市販されているので、キッチンだけでなく、家中のフローリングを清掃するには、こちらを試すのもよいでしょう。中性洗剤は、フローリングのワックスを落とす心配がありません。
掃除のスポンジにメラニンスポンジを使う人が多くなりました。メラニンスポンジは、洗浄力が高く水回りや窓、家具の汚れをあっという間に落としてくれますが、フローリング掃除には避けた方がよいでしょう。
メラニンスポンジは硬く、きめ細かい網目状をしています。高い洗浄力は網目の細かさからくるもので、研磨して汚れを落としているのです。
つまり、フローリングにメラニンスポンジを使うと、研磨力が強過ぎるため、黒ずみと一緒にフローリングのコーティングや着色も剥がしてしまいます。結果、フローリングを傷つけてしまうので、スポンジはメラニンスポンジ以外のものを使用しましょう。
重曹と水を混ぜた掃除法
重曹は炭酸水素ナトリウムを指し、ベーキングソーダとも呼ばれます。人体にも含まれ、食用や掃除用、工業用と便利に使える物質です。重曹は洗剤として使うと、環境に優しい上、頑固な汚れを落とす強力な力を持っています。
重曹には強い研磨力があるので、シンクの水垢やコンロの油汚れをガンガン落とせますが、フローリングのようなデリケートな床材を清掃するときは、若干の注意が必要となるでしょう。重曹は弱アルカリ性のため、高い濃度で清掃に用いると、フローリングのワックスやコーティング剤を剥がしてしまう怖れがあります。清掃後、ワックスを塗り直す必要性が生じるかもしれません。
重曹を使う場合は、水と混ぜスプレー状にしてフローリングの黒ずみに向けて噴霧してください。柔らかい布巾に重曹水を含ませて、黒ずみをこするように掃除するのも効果的です。足裏についた雑菌は、フローリング上で黒ずみとなりますが、重曹には除菌、消臭効果があります。
重曹水で掃除すると、黒ずみがきれいになる上に、除菌効果も期待できるので、生活空間を安全に、清潔に保てるでしょう。環境に優しい洗剤なので、ペットのいる家庭にもおすすめです。
ただし、使い過ぎは禁物です。高い濃度でひんぱんに使い、ゴシゴシこすっていると、フローリングの木材やコーティング剤を傷める原因となります。
酢と水を混ぜた掃除法
お酢には殺菌効果やカビ防止の効果があるため、フローリングの掃除にも使えます。小さな子どもがいても安全に使えるので、床の清掃に向いているといえるでしょう。フローリングの黒ずみは、お酢と水を混ぜた液体で落とせます。お酢は脱臭、除菌効果があるので、黒ずみだけでなく、匂いも取り除けます。
しかし、お酢はアルカリ性なので、高い濃度で使うと、フローリングの木材やコーティング剤を傷める可能性があるのです。最初はお酢を5倍の水で薄め、スプレーボトルに入れて、噴霧し効果を見ます。効果が薄いようなら、お酢の濃度を高め、スポンジに含ませてこすってみましょう。
最終的にお酢と水の濃度は1:1まで高めて掃除します。きれいになったあとは、水拭きし、その後乾いた布で水分を拭き取ってください。お酢の匂いはしばらく残りますが、時間を置くと無くなるでしょう。
どうしても匂いが気になる人はホワイトビネガーを使います。清掃用には市販されている、穀物の醸造酢を使ってください。米酢が最適です。味がついている調味酢は糖分が入っているため、清掃には向きません。リンゴ酢、黒酢、すし酢などは避けましょう。お酢に入った糖分で床がべたつきます。
ワックスやコーティング剤で黒ずみを予防する方法
やっとのことで、フローリングの黒ずみを撃退したと思ったら、次は予防を考えなくてはなりません。きれいになったフローリングにワックスをかけたり、フロアコーティングをしたりして床材を保護します。再び黒ずみにならないよう、なってしまってもできるだけきれいな状態を長く維持できるようにフローリングをコーティングするのです。
フローリングの床にワックスやコーティング剤を塗ると、汚れや水滴が木材に染み込むのを防ぎ、黒ずみを予防できます。フローリングが傷つきにくい、といった効果も得られるでしょう。
ワックス掛けで黒ずみを予防
ワックスは手頃な値段で、家庭でも掛けられますが、かなりの重労働です。ホームセンターなどでフローリング用ワックスを購入したら、乾燥しやすい時期を選んでワックス掛けをしてください。
あらかじめ掃除をしてフローリング上のほこりを取り去り、ワックス掛けしやすいように家具を移動させておきます。既にワックスが剥げている部分は厚めに塗るようにしてください。約20分から30分放置して、乾燥させます。
フローリングのワックスは、半年から一年の耐久性です。ワックス掛けをしたフローリングは定期的なメンテナンスを心がけましょう。一年に一回、ワックスを掛け直して、フローリングを保護します。
フロアコーティングは耐久性が高い
コーティング剤を使ったフローリングの保護は、汚れや水滴を染み込むのを防ぎ、黒ずみを予防できます。コーティング剤の耐久年数は、10年以上で、材質によっては20年、30年もつものもあり、フローリング保護の効果を長く期待できるでしょう。
しかし、家庭で行うフロアコーティングは、DIYに慣れた人でも難易度の高い作業です。フロアコーティングは、ウレタンコーティング、シリコンコーティング、ガラスコーティング、UVコーティング、アクリルコーティングと複数の方法があり、材質選びから始めなくてはなりません。
それぞれのフローリング剤によって、光沢、耐久性、強度、安全性などが違うため、家族のライフスタイルに合ったコーティング剤を選びましょう。施工後の乾燥時間も大きく違いがあります。
コーティング剤が決定したら、フローリングを掃除し、ワックスがあれば剥がしてください。ワックス剥離剤とスポンジ、ヘラなどを使って丁寧に剥がしていきます。これだけでも広い範囲のフローリングとなると、大変な作業です。
ワックスが剥がれたら、コーティング剤を塗りますが、この作業にはフロアコーティング専用のモップや、マスキングテープが必要となります。コーティングしない部分(壁・扉など)にマスキングテープを貼り、入り口から出口に向かってコーティング剤を塗りましょう。
きれいに仕上げるコツは、コーティング剤を均一に塗ることです。コーティング剤が硬化したら、二度塗りをします。完全に硬化するまで、放置してください。
ワックス掛け・フロアコーティングの注意点
ワックスやコーティング剤は、フローリングの黒ずみを予防できますが、家庭で行うにはいくつかの注意点があります。ワックスの材質は多くが水に弱く、水分が付着したまま放置すると、劣化、変色の恐れがあるのです。水がこぼれるような場所には、水分に強いワックスを選んでください。
ワックスは日々摩耗し、光沢が無くなり劣化していきます。ワックスが剥がれると、その部分に汚れが付着し、黒ずみの原因になりかねません。だからこそ、ワックス掛けは重ね塗りが推奨されています。ワックスを重ねて塗る前に、フローリングの汚れを完全に除去するよう注意しましょう。
ワックスの剥離剤はアルカリ性が多く、フローリングを傷める原因になります。フローリングの木材に合ったワックス剥離剤を選ばなくてはなりません。
フロアコーティングの場合、コーティング剤を塗る前にゴミなどが混入してしまうと、取り除けません。混入したゴミは目立つ汚れとなってしまうでしょう。換気を十分にして、部屋内のホコリも外へ出してからコーティングをしてください。
コーティング剤は塗布すると、すぐに硬化が始まるので、素早く、ムラなく仕上げなくてはなりません。
どうしても落ちない黒ずみにはどうすればいい?
家庭内でどんな方法を試しても、落とせない黒ずみがあります。黒ずみを完全に落としきるには、どうすればいいのでしょうか。専門家の意見を聞くと、「業者に依頼する」のが一番の早道とのことです。フローリングの木材、使用できる洗剤、丁寧な施工など一般の人では全て把握するのは難しく、時間もかかってしまうでしょう。
専門業者のフロアコーティングは、丁寧でムラなく仕上がり、耐久性も高くなります。数十年維持できるので、住宅のリフォーム時に合わせてフロアコーティングやワックス掛けを行う人も多いのです。大切な家財を傷めず、美しい状態を保つには、プロの技に頼るのが、賢い住宅維持法かもしれません。
まとめ
フローリングの床は、新築からしばらくすると黒ずんできます。黒ずみは、皮脂、カビ、油汚れ、水分などが原因です。中性洗剤、重曹水、酢水をスポンジや布に含ませて、洗い落としましょう。黒ずみが解消されたあとは、ワックス掛けやコーティング剤で、フローリングを保護し、予防します。
ワックス掛けは摩耗、劣化が避けられないので、重ね塗りが必要です。コーティング剤を使用して、フローリングを保護する作業は難易度の高いDIYとなります。どうしても落ちないフローリングの黒ずみは、専門の業者にフロアコーティングを依頼しましょう。